寄り道の先の亡霊/ホロウ・シカエルボク
 
ね、寄り道をしながらさ、もちろん…ある日の帰り道、当時の仕事場と俺の住処の間には風俗街というものがあってさ、と言っても、かつての栄光はどこへやら、割れたガラスの中にあらゆる種類のゴミがたくさん詰め込まれた巨大なビルのソープランドの廃墟が数軒あって、営業している小さな店も昔みたいに呼び込みのアンチャンが立っていたりなんかしない、ただ看板を点灯させて客がドアを鳴らすのを待っているだけさ、あとは、もういまはやっていないだろうけど、婆さんに小さな建物に呼び込まれて、その婆さんよりはもう少し若い女とヤレるところとかあったよ、とにかく、そういう区画があるんだ、どちらかと言えば俺の家に近い方にね、そこに一軒のそ
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