寄り道の先の亡霊/ホロウ・シカエルボク
 

誰かが俺のことを呼んでるのは聞こえていたけど俺はすっかり出来上がってしまっていて返事ひとつもままならなかった、ここで無理矢理立ち上がったところでテーブルと一緒に転んで弁償するグラスがまたひとつ増えるだけだった、まわりの皆も俺がそこに居ることやどんな状態かってこともわかっていたけれどそれは珍しいことじゃないから誰もなにも言わなかった、それは本当は冷たさだったのかもしれないけれどべろべろの俺にはとんでもない優しさに思えて恩返しに酒でも振舞いたかったけれどさっきも言った通りろくに口をきくことも出来やしなかった、出来上がっているのに出来ないことばかりだ、なんだこりゃ、哲学かなんかか?哲学なんて時間の無
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