鏡像(11)「暗い部屋」/リリー
 

 寮母室でチーママと二階を担当する五十代のベテラン、
 サードの先輩が珍しく愚痴る

 Bさんは独り身で面会に訪れる方の姿も無く
 集会室でのレクリエーションへ参加された事も無い
 ベット部屋で篭りっきり
 配膳する食事すら満足に摂ろうとせず
 嘱託医が点滴の往診をしているが
 このままでは痩せてますます動けなくなってしまう

 「お前らみたいな奴に、世話される自分が情けない。」
 俺の世話をするんなら、次長か主任、副主任を呼べ!というのが
 認知症ではないBさんの口癖だった

 当時の「寮母」や若い生活指導員では、Bさんに通院をして貰い
 臨床心理士のカウンセリングなどを受けていただける様な
 精神面で必要なケアを提供する事は出来なかったのだ
 
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