人は何処へいくのだろう、命ひとつ抱えて/
そらの珊瑚
三月に降る小雪をつかまえようと
手のひらを天にむかって
差し出せば
どの子もふわり、
風にひるがえりながら
上手にわたしをよけて
アスファルトへと着地するから
こんにちはも
さようならも
言わずに終わる
消えていくだけの
出会いが彩る春の浅い渚で
どの子も水になった
わたしはこれから何処へいこうか
錆びた自転車のくぐもったベルの音がして
戻る
編
削
Point
(16)