逝くまで書いて/ただのみきや
みを帯びた灰
雲は裏切る愛
点々と地に綴られる
口をふさがれた凌辱の
息つく暇も与えない朱の嗚咽
けもののおどり
吹雪くはらわた
聞く声は枯れ泣くものもなく
視界はほどけその
縦糸も横糸もみな
まゆへかえる
焔におどる影ばかり
ことばの向こうを懐かしむ
****
愛人を彫金する
鐘の音のような
沈黙の鈍器
闇に打ち付けられた
わたしの芯棒は
地軸より傾いて
こみ上げる
海 すきまない
鳥 機械
のようにしかしゃべれない
わたしの嘘から陰茎を切り落とせ
森を模倣し乱立する
霊魂のふくらみを
ひとひねりふたひねり
破裂するまで手淫して
(2024年3月2日)
戻る 編 削 Point(9)