宮沢賢治のオマージュ/レタス
 
かいないのだ
わしは三千年も此処を動いたこともない
蝶について行くがよい

解りました そうします ありがとうございました

老樹はそれ以上何も言わなかった

しばらく樹林を彷徨うと
紫の大きな蝶が音も無く舞っていた

どれくらい歩いていただろう
やがてポカリと開けた草原に百葉箱が立っていた

扉を開くと緑色に光る紙が一枚
手に取ると 無限列車の永久切符だった

しばらくすると遠くから
汽笛が聞こえてきた



                初出 日本WEB詩人会 2024/02/28
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