波紋/たもつ
食べてすぐ横になると
牛になって
川まで来ていた
晴れたら洗濯をして
布団を干そうと思っていたけれど
雨も降り出して
残っているものもない
これからの人生どうなるのだろう
いや牛だから牛生か、なんて
細かいことが気になるのに
川辺の草を見るだけで
よだれが出てくる
気がつくと隣には
一緒に牛になった君がいて
川面の波紋を眺めている
言葉で伝えなければいけないことが
たくさんあったはずなのに
側にいるだけで
不思議と伝わっていく
(初出 R6.2.27 日本WEB詩人会)
戻る 編 削 Point(8)