くれないの風が吹く/秋葉竹
 
に飼い慣らして
真っ赤な風船を心で膨らませて

そのうちバーンッ!って割れて粉々になる
やさしい抱擁が僕を離さなくなるさ

今はまだすぐに離してくれたけど
悔しくてほんとうに泣きそうなときは

なにもかもを忘れて僕のために
隣に座ってぎゅーって抱きしめてくれる

メロンの味の唇まで味わわせてくれる
そしてだれも不幸になんかならない

忙しくて 時間の奴隷の彼も彼女も
今日だけは一緒に美味しい言葉を口にする

だから悲しみをふと笑ってわからない
二人だけの夢でみた虹のように大好きになる

それにしても生きてゆくのに君は必要だと
しあわせの笑顔でありがとうという

最初から好かれやしないことなんて
心を読むみたいにわかっていたから

最後くらいしあわせの笑顔でありがとう
って云ってただの挨拶のフリをする

最後くらいしあわせだった笑顔でニコッと
君に見せたいだけのとっておきの紅の風が吹く









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