あの日の追憶/陽向(2躯-30〜35)
 
透明なままで
色付いた景色は白くて
その真っ白を追うほどに
静けさは遠のいていった
喧騒の騒ぎは常に内側にあって
内側に探し求めれば外側にあって
そうする度ごとに
鳴り止まない邪に錯乱されて
鳴り止まない正義の痛みに苛まれて
鼓動の意味を探し求める
その意味に潰されることにも
たいそれた言葉は浮かばず
灯りに照らされる気分ではない
だが現在の単純な気分の悪さを味わいたい気分でもない
かつての誰かが自殺する、そんなことさえもかすかに陽気に感じるほどに自殺したくない
生きたくない気分だから、生きたくなる
まっさらな、一つ一つが大人になるにつれて
その一つ一つが意味を持ちうることに傾く
大人の僕らは失敗のままそれをひきずる
そのひきずる紐にひっかかった君
僕がしぬ時には声をかけてくれよ
じゃなきゃ僕は何もおもいだせないから
最後に君がいたことすら覚えていられないから
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