北アルプス紀行/レタス
 
祝福してくれているよ
な  長い道程もあと僅か
に  荷物を背負い直したら
ぬ  濡れた頬とうなじを拭いて
ね  ねぇ… 歩いて行こう
の  登り路はもう少しで終わるよ
は  花々が微かに笑いながら歌い
ひ  広々としたこの景色を飾っている
へ  睥睨(へいげい)してごらん
ほ  ほら あれが槍ヶ岳 あれは白馬岳…
ま  真っ直ぐに伸ばした指の果てには富士の峰
み  観てごらん重層と連なる山々を
む  無理はしないでいいから
め  眼の前にはチシマギキョウが咲いている  
も  もうぼくらを邪魔するものはない
や  休んだらポカリを飲んで
ゆ  雪にカルピスをかけてごらん
よ  歓びが喉を通過するよ
ら  ラピスラズリの空のもと
り  輪唱する花々の祝福のもと
る  ルビーの指輪をポケットに忍ばせ
れ  恋愛にピリオドを付けよう
ろ  呂律の回らない言葉を捧げた
わ  ワタシト・ケ…ケッ…コン・シテ…クダサイ!



                初出 日本WEB詩人会 2024/02/26
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