長 雨/塔野夏子
 
なかなか雨はやまない
僕は夢想する
星空模様の傘をさして
君のところを訪ねたい
ジャム一瓶ほどの幸福をたずさえて

なかなか雨はやまないから
君のもとへ辿り着くまでに
傘も溶けてしまうかもしれないけれど
僕も溶けてしまうかもしれないけれど

やまない雨はないとひとは云うけれど
この雨が本当にやまないのか誰も知らない

もしどうにか
ジャム一瓶ほどの幸福を君に届けられたら
その時僕らは
語り合うだろう
この重い雲の上の
本当の星空のことを

僕は夢想する
とうにこの雨に
君も僕も溶かされているのかもしれないと
思いつつ
僕は夢想する


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