眠気/由比良 倖
眠いとき、私は動物みたいな目を持っている、
あさやけ、
白い虫の羽根が窓からの光に舞っている、
青い雷が地平線から、
私の朝を満たしている、
身体が溶けていくような毎日です、
灰色と黒の服を着て、
二階の震動に心が揺れる、
この世がこの世でも、あの世がこの世でも、
関係ない、音楽と言葉は、
私からあの世とこの世の境を
取り去ってしまう。
この世を忘れさせてください、
光降る音楽を降らせてください、
今をノイズで充たしてください、
誰も、邪魔しないで。
2
思う存分、夕焼けを浴びた身体が、
群青色に溶け出す時間、
指先に触れた匂いと、
引き出しの中の青いペン、
鍵盤、金属のフレット、
空中では透明な回転扉が私を永遠に誘っている
私は眠い
夢から爪が伸びてきて
心臓をゆっくり刺しつらぬいていく
その爪には濡れた葉っぱが一枚
貼り付いている
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