はばたきは、いつか/ホロウ・シカエルボク
 

だけどわたしには些細なことだったし
そのせいでたとえば破滅が待っているのだとしても
わたしはきっとその、くすぐったさのようなものを
拒否することなんか決して出来なかった
めずらしく訪れた嵐の中、わたしは足跡を残さないように
どんな音も置いて行かないようにつとめた、きっと
だれのためでもなく、ただ自己満足のために
わたしの跡のことなどわたしにはどちらにしても
どうでもいいことのはずなのに

たくさんの鳥がいっせいに飛び上がるのを見たの、わたしはきっとそこに、どんな光も闇も感じることは無くて
そのことをとても恐ろしく感じてしまった
恐怖から逃れるためにわたしは動き始めたのだ
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