源氏 其の四/藤原絵理子
 
薄雲
かへりくればをちかたびとの袖にもや 露をおかせるあきの月影

朝顔
あひそへど上の空なるけしきにて 浮きねのをしのこゑはものかは

少女
おもへども雲居にまどふはつかりの なかの衣のはかなさ知らで

玉鬘
つばいちに鐘の音ながすはつせがは 数ならぬ身のゆくすぢしめす

初音
ますかがみ眺むる池のもみぢ葉の つねならぬよをさし隠さばや

胡蝶
むしの音にはかなきゆめをことよせて あきのこてふの舞ひぞかひぬる
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