誕生日/山人
 
ただの一言も発することがない
二月の青空はとても孤独だ
ひとみを綴じた兎が
木の袂でうたた寝をしている

冬は自我をうしない
薄く目を開けて、この青い空を
くちびるをかすかに動かして
未來を見ている

僕だけが
春など来なければいいのにと
まぶしい午後の日差しをながめている
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