三文芝居の夜/ホロウ・シカエルボク
観たことがある、もう十年近く前のことだろうか、もしも自分にそんな機会がやってきたとしたら、俺は同じことをすだろうか?時々そんなことを考える、そんなことするわけないじゃない、と、笑って返すことは出来ない、少なくともそのくらい迷うだけのものは胸の内にあるってことさ…俺は缶コーヒーを飲み、車の流れが完全に途切れた広い交差点の真ん中に躍り出て、爆弾のように跳ね上がって倒れ込んだ、シャツが濡れてしまったけれどそんなことはどうでもよかった、覚悟のうえで傘を持って出なかったのだから…一瞬そのまま眠り込みそうになって慌てて歩道に戻った、歩道には警察官が二人立っていて、俺に向かってこんばんはと言った、俺も同じように
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