それのほか みちはない/あらい
 
うつろ灰色の翳に高尚なまん月がまろびでる
象牙すすけた草原のときは、まだまだ みちなかば
いっそう留めた錯覚を立ちのぼらせつつ嫌がりました

ふとあなたは、という穏やかさだけで
ただ顔を曇らせたすがたで
どこにもありゃしないが、と埋め戻して
首を振るばかりの無言劇のようだが
その日のうちに膨らんできただけの
そうそう錆びた咲き始めを知る
ふと呼び戻しそうになって示し直して
一番星を飾り付けて待っていたとき


倒れかかってきたそれを
振り払って 今 握り返した


どこか祝日を食いつぶす膝の上の。つぶらなきみ
すこし濡れた前髪、のびた手足だけがいきてくる

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