擬態/
まーつん
首の後ろ辺りから
広がっていく空白と
瞼の裏を掠め過ぎる
拳の記憶
喜びを道連れにして
悲しみが死んでいく
心が死を擬態するのは、宿主へのいたわり
仕組まれた機構に過ぎないとしても
毛布のように心地よいから
喜んで騙される
曳かれた猫、上下する肺
ヘッドライトに照らし出される
琥珀色の眼
死にかけの獣の
安上がりな連想
錆びかけた歯車、上下するピストン
軋みながら連動する、シャーシの中の部品
機械仕掛けの心の
安上がりな連想
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