海になればいい(改稿版)/涙(ルイ)
 
いたのだが
   彼女はどうやら複数の病院をドクターショッピングしており
   かなりの量のクスリを溜め込んでいることがわかった
   それから 度数のキツい酒をたくさん買い込んだ
   万が一生き残ってしまうことのないように なんて笑う君が
   恐ろしく美しく見えた



君はチョコレートを食べながら 過ぎてゆく景色を見ている
こんなふうに電車に揺られるのも
流れる景色を眺めているのも
これが最後だと思うと なんだか無性に愛おしくも感じられた
ふいに君が後悔してない?って訊くから
僕は何も言わず ただ首を横に振った







冷たい冬の海がいい
ただ波の音しか聞こえない きれいな海の町へ行こう
そして暗くなるまで 波の音の中で眠ろう
霧雨が降ればいいね
僕らのもろくこわれそうな命のような
やさしい雨が降ればいいね
風は冷たい方がいい
ふたり疲れた躰寄せ合って
海の中で飽和しよう
やさしく そっと


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