海になればいい(改稿版)/涙(ルイ)
っけ
あいつより先に昇進したとき どこかで優越感を感じていなかったか
自分とさほど見た目も変わらない 冴えない男だったあいつが
あるときとびきりかわいい彼女を連れて結婚すると紹介された日
何故だかひどく敗けた感を覚えなかったか
心のどこかで うまくいくわけない
どうせ彼女のほうから愛想をつかせて別れるに決まってる
と勝手に決めつけて あいつの不幸を願った
我ながら最低だ 最悪だ
こんな自分 終わりにできるものなら終わりにしたい
そんなふうに思わない日なんて
本当は一日たりともなかったのだ
あなた
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