のらねこ物語 其の六「アワビ皿」/リリー
 


 軽いため息つく おきぬ
 「あんたには、もう怒る気もしないよ。器量はそこそこなのに、どうして
  そうヌケてるんだろうねぇ。」

 また皿に顔を埋めて飯を頬張るトラ
 苦笑いしている 気の良さそうな二人をチラッと見上げ
 安堵するのだった。

  

 注)厨は、台所のこと。
   
   江戸時代、アワビの貝殻は猫のごはん皿として定番だった。
   他にもホタテや牡蠣の貝殻も使用されたが、ホタテでは
   水分の多いものはあまり入れられず、牡蠣は不安定。
   アワビ皿が最適とされた。


 第十連目、第十一連目は『小さなわらいばなし』上巻 
 作・さとうわきこ 協力・松本新八郎 題目「すり足」より引用連想表記
 しました。
 
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