愛と殺意/まーつん
 
美しく輝く
掌の中のガラス玉
大理石の床に叩きつけたら
この星に息づく命と
同じだけの数の破片となって
飛び散った

思い出で繕った柔らかい屍衣に
心地よくくるまっていたら
裏地から棘が生えてきた

それは
死んだはずの心の膜を食い破り
新たな痛みを孕ませた

見知らぬ女の歌声が
見知らぬ男の叩くリズムが
この檻の扉を
不意に開け放った

こちらに向けられる
優しい微笑みを
捻くれた鉤爪で引き裂いてしまいたい

絶望の向こう側にある微睡から
私を引き戻した報いとして

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