のらねこ物語 其の三「イワシ」/リリー
 
寝間へ案内した おきぬへ
  奥様が、疲れがたまっているといけないからって
  脈を診てもらうように勧めたのだ

  後からお茶をお持ちした おゆうの前で
  おきぬは目を見開き すかさず両手を左右に振った

 「いえいえ、なんの。私らのようなものに脈なんぞ、あるものですかっ。」

  
 

 
 第十二連目 『小さなわらいばなし』上巻 題目「女中の脈」より引用連想表記しました。
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