五時五十七分の日入り/民二郎
 
下着買い受けの女へ生理寛解を拝みにいくと嘯いて
最果ての夕暮れ春の灯台にあった
魍魎が私と共にいた
ヤブ椿の花は無心にあえいでる

既視感もかくやとばかりに他人様と衝突する
左肩が痛む 医者は巻肩と云う
寝相もよくない 自由さがない 子供らしさも
無意識が有意識の生活を規定する

灯台で夕景を撮っても人っ子一人いない
幽霊バスに会う
最果ての場所は虚無と私が人でなくなる予感
誰も知らない暗殺をされるような

やんれやんれと帰路につくことにした
人家の灯りがやっと目につく
コンビニで先に並んだおっさんが
先に行けと云う 優しさが染みる
恐怖で知らずに同情を買う顔をしていた

右肩を動かすと左肩の痛みは和らいだ
私ばかり掘っても苦しみは続く
肩と同じ構造
他者を赤子のように求めなければ虚はつづく
魍魎は私を押し出したいのだろう
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