移ろいの狭間に/
ひだかたけし
夏を置き去りにして
熱は大気に溶け
甘やかな冷涼
時に運ばれ来る秋に
真紅に染まった貴女
輝き出て私を眩ませ
両手差し出した瞬間
突然到来した冷気に
置き去りにした夏の
呪詛響き渡り秋を溶かし
時に運ばれ来た冬の侮悟
ぽつんとひとりいる私は
失われた貴女の姿
深く深く求め
この青く青く
濃く凍結した大気に
暗まる異様な影
移ろう季節の狭間に
必ず見入って来たこと
忘却の渦中に想起され
置き去りにしてきた夏に
震え嗚咽し深く頭を垂れる
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