よみがえる/ただのみきや
ぬれた星を見上げ
渇きをいやす
眼球は
キリギリスを歌う
風見の舌と睦みながら
吐血の祈り
内視鏡では
さかしまに蜷局を巻く
死は累々と
あどけなく惨めに
染みはそのまま
母の着物の柄となる
死と詩は互いに置換される
きみは詩に痴漢する
だから孕まない
きみは神殿の切石を盗んで積む
だから孕めない
きみの理屈で自然石は積めない
理屈は限界をもの語る
詐と史はねじれたラジオ
暗闇で月をすする
肌と肌がこすれて発火した
あの瞬間なにを見た
酢と背は盲人の花札
祖と鼠は真水に解く
苦いほど甘い
声
死者の射精
わしづかみにされた
土饅頭の
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