終の犬 5。/たま
になる。
赤や青の。カラフルな輪ゴムも。またおなじだ。
八月。彼=ダンスケ。は。四才になった。まだ。老いる。
ことも。塵みる。ことも知らなかった。が。寝不足の。
Kは。仕事から帰ると。ごろんと転がって。昼寝するの
だった。Kは。観葉植物が好きだ。四〇年も育てた。木
もあった。この夏。その木に初めて。花が咲いたのだ。
嘘みたいに。きれいな花が。
七〇年も。生きたのだから。じぶんも。きっと。花が咲
くはず。それが。オマケのような花でも。かまわない。
きっと。咲くのだ。と。Kは。思った。
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