密度流/ホロウ・シカエルボク
 
それはごく非常に一般的な、社会的な意見だ、自分の中に基準が無いのなら、大人しく時間を社会に献上して給金を貰って過ごすべきだ、いや、確かに僕自身、芸術なんて言葉には少しよそいきなものを感じてしまうけれど…芸術なんて本来、学術的な意味で語られるような言葉ではないはずだ、僕はそれは熱量のことだと思うのだ、あらゆる種類の熱量のことだ、ただ闇雲な、勢い任せのものだけのことじゃない、芸術の中にはそれだけしかないと思う、なのに、インテリゲンチャどもがそいつの意味を捻じ曲げてしまった、豪邸やポルシェ、上等なワインみたいなものにしてしまった、まったく、すぐに定義に走る連中はろくなことをしない、それはどんな階層に居る人間もそうさ、僕はそんな連中に唾を吐き続ける、そんな連中が僕について分かったような口をきいていると、悍ましい虫を見たような気持ちになる―



世界は毒ガスに満ちている、だから、僕は仰々しいマスクを装着するのだ


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