火だるまパンツ事件。/田中宏輔
ずのパンツが、どうしたわけか、お尻に半分引っかかっていたのです。案の定、パンツは、うんこまみれになっていました。そうして、しばらくの間、脱ぐに脱げずに困り果てていましたところ、突然、はたと思いついたのです。白衣のポケットのなかにある百円ライターを使って、パンツの横を焼き切ってはずすことを。うまい考えだと思いました。ぼくは、さっそくそれを実行に移しました。まず、左横の部分に火をつけて、うまく焼き切りました。そして、つぎに右横の部分を引っ張って左手で火をつけましたときに、突然、ガッと扉が開いたのです。とんまなことに、ぼくは、鍵をかけずに大便していたのです。相棒の叫び声にびっくりしたぼくの手元が狂って、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)