友に/
藤原絵理子
ホスピスにいるきみは
もう夢を見ない
たいしたことじゃない
ことさらそんなふうに振舞う
明るく冗談なんか言って
思い出話が尽きると
それ以上の言葉は出てこない
何を話せばいいのかわからなくなる
窓の外の枯れ木の揺れを眺める
その日の来るのが早いきみと
何時かわからないだけのぼくに
どれほどの違いがある?
今日の次は明日
今年の次は来年
ささやかな希望があれば
生きていけるものなのに
もう夢は
見ないでいてほしい
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