残高/本田憲嵩
なくされた夏」、
俺「アー そういえば、
なんだか最近は父親の頭髪の積雪量がことさらに多い、
いつの間にかその体躯はどこか枯れ木を連想させる」、
Y「オー もしかするともういよいよその時は迫ってきているのかもしれぬ」、
俺「オー おたがいに」、
Y「アー おたがいに」、
俺、Y「さんざん先のばしにしてきた、なにか、
「アー オー、
※
物価が高い、
ひとり、帰り道の途中で寄ったコンビニのATM、
二万円を引き出して、
残高の数字が鋭利となる、
すみれ色の夕陽が、いままさに沈もうとしている、
ビニール袋の中には、
「とびきり美味しい疲れ果てごはん」、
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