思い出のがっちゃき二/板谷みきょう
て恐ろしくて
こっそり
抗不安剤を沢山持ち込んでいた
手術前夜
病院から処方された薬の他に
持参した抗不安剤を
少し多めに服用した
気が付いたら
手術は終わっていた
通常手術後、病室に帰る時は
車椅子に乗って帰室するのを
ボクは
「大丈夫です。」と
歩いて帰室したという
全然、覚えてなかった
そして
点滴をする時にも
難癖を付けて酷かったと
看護婦長が話す
看護婦は誰もボクを看ない
すっかりボクは
肩身の狭い問題患者となり
担当は婦長さんだけだった
名誉挽回のつもりで
「実は…」と
床頭台の奥に隠していた
抗不安剤と入眠導入剤を
婦長さんに見せると
即、没収
術後の排便は
ウォシュレットの勢いを
最強ですること
三日目からのリハビリは
横臥で膝を曲げた後ろで
婦長さんが
「早くバナナのうんちを
出せるようにしましょうね。」と
ボクの肛門に指を入れる
それが
退院する日まで続いたのだ
戻る 編 削 Point(1)