Okunoto 4 seasons /AB(なかほど)
という気持ちでいつも見ていた
けれど
ついこの前
シーサイドラインが開通した
幸いにも桜は倒されずに岬に残されたけれど
もうこちらとあちらのシンボルでもなく
僕らの憧れでもいられなくなってしまった
はじめて側に寄って
藤の蔓が上の方までつよく絡まっているのを見ていたら
ずいぶんと頑張ってきたのにね
と逆に言われてしまった
少し湿ったね と
旧道沿いの
あしもとのほうから
梅雨のにおい と
祖父のにおいがした
ふりかえると
あたり一面にシャガの花
思い出すひとがいるから
咲くのだろう
もう一度ふりかえると
祖父の家
明日から空家となる
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