源氏 其の一/藤原絵理子
 
桐壺
雲居よりかずならぬ身とすずむしの つゆけきあきをいかが過ぐさむ

帚木
ふきむすぶ露にしをるるとこなつの すがたも知らぬあだごころかな

空蝉
うつせみの脱ぎすべしぬるうすぎぬの 香になれもせで消ゆるははきぎ

夕顔
たまさかにみちゆく人のあふぎみて 光にしをるるたそかれの花

若紫
しほみつる葦辺のたづに うらなみの寄せてもやがて立ちかへるらむ

末摘花
ことのはの落つるけしきもからころも かくす袂のくれなゐの花

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