君色花火/ミナト 螢
 
夜空を切り裂く光が
万華鏡みたいに泣いて
涙も乾かないうちに
新しい顔をする

打ち上げられた花火を
こんな風に見ている君は
どこかへ行きたいのに
どこへも行けないまま
僕の夏に飛び込んだ

君を守るとか
翼じゃないから
言えないけど

僕の隣に君がいる
言葉を選ぶ時間が
ゆっくりになるように
歩幅を合わせながら
揺れる横顔は
ひとつしかない

君はまだ花火を
見ているのかな

溶けたアイスクリームに
舐められたくはないから

人混みの中
はぐれないように繋いだ手は
ドドーンという
花火の音とは違う
君の鼓動を聞いている
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