青空とレモネード?/朧月夜
て、その通りだろう。戸外で絵を描いていれば、それに興味を示す人というのは必ずいる。とくに老人たちなどは、世間話もかねて彼女に声をかけることがあったろう。そうして、今と同じようなやりとりを繰り返してきたに違いない。
「あなたは今日は徹夜明け?」
と、今度は君のほうから僕のことを尋ねてきた。
「そうだよ。一番街のほうで店の飾りつけがあった。僕は現場監督を任されていてね……図面とのにらめっこさ」
「あなたの仕事も大変そうね」
「いや、そうでもないんだけれど……応援で来た子たちに指示を出すのが難しい。なかなか分かってもらえなくってね」
「あなたは正社員なの?」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)