青空とレモネード?/朧月夜
 
お気に入りらしかった。画集のページを指さして言う。

「この人の絵ってね、見かけによらず厚塗りなの。サイズも大きいし、構図がシンプルなのに大胆で荒々しいんだ」

 その顔はほころんでいた。「いつか自分もこんな絵を描いてみたい」という顔つきだった。

「〇〇って、大判の絵は描かないよね?」

「材料代が高くつくから……」

 君は恥ずかしそうに言った。キャンバスのサイズで言えば、君の絵は10号から15号くらいまでの絵が多い。大きなものでも、20号を超えるものはそう多くはなかった。このキャンバスのサイズに関する知識は、僕がもっと後になってから学んだものだ。その時にはまだ、30センチ
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