真白/ミナト 螢
曲がり切れないカーブは
初恋の人の背中に似ていた
触れたくても逃げていく
それは風のように柔らかく
ほんのちょっとの憧れを
焦がしてしまった
胸の中に太陽がいる
私の瞳だけは
あなたの後ろ姿を
鏡よりも綺麗に映すから
笑った顔が見たくなる
たぶん思い上がっても
浮かれたままの血管に
脈を打つのを
春のせいにしながら
歩いていくんだ
好きって言葉が
分裂しても
飛び散る破片を
隠すのに精一杯
何も出来ずに
形だけが崩れて
目が覚めると
初恋は余白だらけで
雪の溶けた道みたいだった
夢のようにふわふわとして
踵を失くした出会いのように
今日も明日も
光を誘って
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