たわわな虚無/ただのみきや
は
雪のように姿を変えたのかどこか帰るところがあるのか
むだな詮索だ
ことばはただ追いかけて果てしなく言い換えるだけ
虚無の本質を留め置き開示することはない
ことば以前からずっとことばにならなかった
だから虚無なのだ
路の脇のまだ誰にも踏まれていない雪の上
枯すすきは風を枕に夢を見る
睫毛にまろぶ朝の輝きの中
時計に粉砕されて砂となって滑り落ちてゆく
そんな時間とは別に
ポケットから取り出す時間がある
永遠と隣接したそのたわみふくらみ
わたしの目の前をきつねの足跡が通り過ぎて行った
(2023年12月23日)
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