音楽と精霊たち?/
朧月夜
形をそのままにしておいた。洗えば、今までの魂は消えてしまいそうな気がしたから……。
自分の家や仕事が気づまりだと思うことはなくなった。ただ、毎日を自由な気持ちで葉子は生活出来るようになった。時折、葉子はオルガンの上に置かれた人形に向かってほほえみかける。そうすると、自然と頭の中にメロディーが浮かんでくる。彼女の指は鍵盤の上を走る。それはバッハの作曲したフーガのように、いつまでも絶えることがないもののようだった。
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