sayonara.com 61-70/AB(なかほど)
も早足になった
消えそうな声に消えそうな笑顔に
消えそうな全てのもに
耳を澄ませファイヤーバード
誰ともなく唄い始めたのは
誰かを忘れないためかもしれない
誰かを忘れるためかもしれない
思い出を右から左に並べて行く
君が泣けないうちに
先にくずれてたのは僕のほう
ときどき縁側の端からこうして
君の こえ を
庭先にこぼしてしまう
ふりかえるとあたり一面にシャガの花
思い出すひとがいるから咲くのだろう
もう一度ふりかえると祖父の家
明日から空家となる
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