アンニュイ/
リリー
雑然とした卓に
ちょっと戯れに挿した
寒椿の 紅い沈まり
眠れないのです
時は重たいものですね
全て寝静まっているのに
音があるのです
秒針が刻む
藍下黒な泥濘の裂け目から
きこえるのです
私の血の流れでしょうか
滾滾と絶えることない
音を聞き
ボトル開けるリキュール
そうして 呑み込む
嫉妬がやはりあるのでしょう
仕方ないのです
寒椿が付き合ってくれているから
眠れなくてもいいのです
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