Lの昇天?/朧月夜
の口先から出たほら話だったとしても。
「わたしは死ぬの?」
と、Lは確かめるように言った。
「死ぬよ。人間なら、誰だって死ぬさ」
と、ニュース屋は答えた。
並川画廊というのは、まだ素人の学生だったり、駆け出しの画家だったりする人たちの個展を開いている画廊で、Lはよくそこに通っていた。画廊を経営していたのは、並川広子という年配の女性だ。誰にとっても親しみを感じさせるような性格で、とくに用事がなくてもその画廊を訪れる、という人たちは多くいた。
Lもそんな人間たちの一人だったかもしれない。Lは、時折個展を開いている画家たちと仲良くなったり、気に入ればその絵を買
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