陽の埋葬/田中宏輔
は、もう鳴かない。
もう鳴かない。
鸚鵡が死んだ。
父の鸚鵡が死んだ。
とまり木の上で死んでしまった。
「グゥエー、グググ、グ、グゥエー、グゥエー、エー。」
と、とまり木の上の骸骨。
そいつは、ぼくじゃない。
骨のアトリエで
首をくくって死んだ父を
ぼくは、きょうまで下ろさなかった。
「どうしたんだい、お父さん? 何か言いたいことはないのかい?」
首筋についた縄目模様がうつくしかった。
ぼくは、父の首筋をなでた。
骨のアトリエで
死んだ魚に餌をやると、憶えていた番号にかけた。
死んだ父に、死んだ母の声を聞かせてやりたかった。
「どうしたんだい、お父さん? 何か言いたいことはないのかい?」
死んだ父は、受話器を握ったまま口をきかなかった。
死んだ鸚鵡も口をきかなかった。
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