マボロシ2/
ひだかたけし
吸い込まれていく
手が
なんて冷たい感触
ぺしゃんこになった
人間に
赤い旗はためき
ゆっくり凍りつき
古い月の浮かぶ世界の
静寂が蠢いて
不可視なものに
触れようとする手を
奥へ奥へ吸い込む
[弱い自我が此処では命取りになる]
そう言う誰かの声が木霊する
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