眠るジプシー女 〜Linda Ronstadtに/カワグチタケシ
 
ついている
いつか、
の遠さに目眩を覚える

私はカレンダーガール
私はミスアメリカ

疲れた男が冬の地下鉄で眠っている
くるぶしに貼られた絆創膏の下だけあたたかい
その小さな面積を思う
眠っている男が
熱いコーヒーか誰かに
あたためたられたらいい
地下鉄が早朝の地上に出る
私は甥を思い出す

私は内から出るものに制約され
もう小鳥がさえずるように上手に歌えない
私の歌は夏のカウチで声になる
夏の地球で
夏の大気をふるわせて

 

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