蒼月/リリー
 

 週末の京都駅
 待ち合わせたプラットフォーム
 喧騒の波間みつけた
 あなた

 月に一度も逢えない
 あなたの指が触れる洗い髪
 ムースで整えて
 玄関飛び出して来た
 夏の午後

 まだ濡れているよ と笑った
 その目、
 貝がらから海の音きく瞳に
 ふと 羞じらって
 視線そらし

 (ちゃんと乾かして来たわよ!)
 小指の爪の先ほどの
 密かな反発
 線路に
 陽のかげる時

 見送ってしまえば
 引き潮の浜辺
 空の色も急に沈んだ

 そして あなたは
 冷たい今夜の月の流れに美しくなる人


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