産み辺のカルマ/平井容子
 

夜明けとともに目覚めた。東向の窓から、楕円形の朝日が現れてくる。小さなイビキを立てて眠るフカは、メイクもぐちゃぐちゃで小汚ないのに、その寝顔はまるで彫刻のように清らかだった。

どうしてそれだけじゃだめなんだろう。



5.魂の恋人たち


与えられた陰を進んだよ

一瞬の今に永遠を感じる子もいる
内側に花を隠し二度とそれに気づかない子もいる
体なく生まれ1憶年生きる子もいる
けれど
起きることなく眠ることはできません

波が
無限にくりかえすただひとつの波が
ひとり帆を張りなさいという

幾千身を清め
砂で眼を洗って
桃色の血を流したびたつ
増えることもなく減ることもなく
産まれてしまう
わたしたち

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