ラジオが死んだ夜/ホロウ・シカエルボク
ずっと鳴らしていた真空管ラジオが
ブツッと言ったきり黙り込んだから
彼の代わりになるようなものを探しに
電気屋に出掛けることにした
駅の近くの大きな店
ウンザリするほど照明の眩しい…
売場のそばにある自動販売機の缶コーヒーは、必ず
欲しくもないのに買って飲んでしまう
後味が好きじゃないことだって
重々承知のこの頃では御座いますが
ビバークのポイントを探す遭難者のようにしばらく
ラジカセやラジオの陳列を眺めて歩いたけど
どいつもこいつもUSBだのSDだの
胡椒がウリのフライドポテトみたいなキャプションで
ずっと鳴らしていられるラジオが欲しいだけなのに
クリア
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