陽の埋葬/田中宏輔
あなたが水の中を過ぐるとき、
わたしはあなたと共にゐる。
(イザヤ書四三・二、歴史的仮名遣変換)
わたし?
──わたしは、長夜(ちやうや)の闇に、夢を見てゐました。
さうして、
毎日毎日(マイヒニヒニ) この(コノ)道を(ミツ) 通ひました(カヨタ)。
(『全国方言資料・第三巻/東海・北陸編』日本放送出版協会、歴史的仮名遣変換)
マイ ヒニ ヒニ コノ ミツ カヨタ
海胆(うに)も、海鼠(なまこ)も、
コノ ミツ カヨタ
タ
、
剥がれてゆくものがある。
ひとりでに剥がれてゆくものがある。
──もう、それは、わたしぢやない。
、わたしだつた。
はぐれた鱗(いろこ)がひとつ、
龍門の下を、
潜つて、ゆ
、ゆき
まし
た
。
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